研究者 | 所属大学 | |
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代表者 | 荒木 優子 准教授 | 神戸芸術工科大学 |
秋山 秀一 准教授 | 兵庫県立大学 | |
兵頭 和花子 准教授 | 兵庫県立大学 |
ソーシャル&サスティナブルなマーケティング志向に基づくデザインマネージメントの考察 (デザインNPOの可能性の研究)
まず、各種二次資料を分析し国内において関連した活動を行う企業や組織を抽出、探索的なインタビュー調査を実施(時期:2010年3月23日~3月24日)、併せて今後の活動のための関係づくりを行った。
対象①株式会社オルタナ(東京都渋谷区):企業の社会貢献活動を伝えるメディアとしての役割を果たしている。対象②NPO法人Think the Earthプロジェクト(東京都渋谷区):情報発信とプロダクトを開発し、ビジネスを通じた社会貢献のあり方を提案している。対象③三菱地所「エコッツェリア」(東京都千代田区):産学官民のゆるやかなネットワークをもとに都市在勤・在住者を対象にした事業を実施している。対象④慶応義塾大学「芝の家」(東京都港区):大学と港区が共同で古い住宅をリノベートし、世代を超えたコミュニティづくりの活動拠点を運営している。対象⑤ NPO法人CANPANセンター(東京都港区):各分野の助成や情報提供により公益活動を支援し、企業とNPOの活動を結びつける役割を果たしている。
上記の調査・分析結果から、今後の活動のためのテーマの発掘を行った。それは、以下の4点に集約することができる。
企業活動のみならず人々の生活においても社会的で持続可能な発想やアクションが求められており、既に各分野において様々な取り組みが行われている。
新しい取り組みには従来の枠組みを超えたクリエイティブな思考やアプローチが不可欠であり、人々の感性を刺激するプロダクト、メディアとして具体化することが必要である。
新しい取り組みには、社会の様々なアクターによるネットワークの形成や連携が不可欠となっている。
企業を取り巻く様々なアクターとの新しい関係を構築するためには、各主体間のコミュニケーションをデザインするという視点が不可欠となっている。
以上のことから、持続可能な経済社会を実現するため、クリエイティブな観点から地球と人に優しい事業活動やライフスタイルを提案し実践すること、そしてそのための調査研究が必要であることがわかった。
研究の主旨に基づき、灘区を対象にした以下のデザインプロジェクトの発案、提案、実行を行った。
動物園は命の大切さを教える教育施設として、また種の保存と調査を行う研究施設としての社会的役割があり、時代や世代を越えての憩いの場として市民にとって大切な場所であるが、地域固有の文化資源としての認識はさほど高くない。そのような観点から、王子動物園とユーザーの距離を縮め、周辺地域を活性化するためのツールとしてコミュニケーション・ペーパーを制作した。
タイトル:『O.Z.cafe』 フォーマット:A2クロス折り/8P vol.0号:『生物多様性』2010年3月発行。生物多様性年にあわせて制作。生物多様性コラム、環境コラム、動物園を楽しむポイントと動物園マップ他で構成した。制作費は、神戸芸術工科大学2009年度共同研究費より支出。 vol.1号:『ミュージアムロードを巡る 動物園×都市×文化×自然』2011年4月発行。兵庫県立美術館から動物園までの道が『ミュージアムロード』と命名されたことに合わせて、動物園周辺の地域活性化への取り組みとして、県立美術館長、動物園長などへのインタビューと学生による地域取材で構成。制作費は、大学コンソーシアムひょうご神戸社会連携事業の助成金(一部)により制作。
成果:各号5,000冊を印刷し、動物園、美術館、最寄り駅など主施設に配置したほか、動物園と区民祭で、学生による手配りも行った。動物園を中心とした地域活性化への取り組みを提案することができた。ミニコミ誌づくりの作業に、学生が教育の一環として参画することができた。本企画が契機となり、動物園をはじめとした地域の人的ネットワークを形成することができ、今後の活動に有効に働くことになると考えられる。
1の活動をとおして灘区から依頼があり、区政80周年ロゴをデザインした。また、まちづくり課と神戸まつり灘区協賛会に対して、『六甲ファミリーまつり』のポスター、プログラムデザイン、および会場メインステージのバックパネルなど、まつりの主となるビジュアルを提案、デザインした。
成果:『デザイン都市・神戸』の動きの中で、区も今後デザインに力を入れていきたいとの意向があり、連携のきっかけができた。40年続く地域イベントである区民祭に関しては、今回の提案で、長きにわたり踏襲されマンネリ化し陳腐化したツールやシステムに一石を投じたと思われる。
『六甲ファミリーまつり』会場にて、子どもを対象としたワークショップを開催、「サスティナビリティ」をテーマにモビールを制作した。参加者:45名、平均年齢7才。スタッフ:学生14名、教員5名。
成果:子どもにとってはさまざまな画材や色彩、マテリアルを用いて創造力を発揮できる体験であった。制作においては、デザインやイラストレーションの技能を有する学生が、子どもたちをサポートするプロボノ活動を行った。
『六甲ファミリーまつり』会場にて、市民の灘地域に対する意識調査アンケートを実施した。スタッフ:学生22名、教員1名。有効回答数:133件。
成果:今後の地域ブランディングに役立てていく。
本研究をとおして、灘の地域コミュニティにおける活動基盤を構築することができた。2) 3に記したプロジェクトについては、今後も継続して行っていく。新たなプロジェクトとしては、「食」をテーマにCSA事業を推進する企業との連携に着手している。
現在、ホームページを順次に準備中で、今後、ICTを活用して情報発信力の強化に取り組みたい。また、積極的に事業のコラボレーターとして大学のリソースを生かし、卒業生を含めた学生の参加と連携を促し、NPOとして組織化することを具体的に検討する。
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