研究者 | 所属大学 | |
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代表者 | 長野 勝利 教授 | 神戸市看護大学 |
吉岡 隆之 助教授 | 神戸市看護大学 | |
芝崎 誠司 助教授 | 神戸市工業高等専門学校 | |
西山 正秋 教授 | 神戸市工業高等専門学校 |
授業配信システム等による学習支援に関する研究
近年のネットワーク技術の著しい発達により、我国の教育分野でもさまざまな領域でWEBを用いての学習教材の開発や遠隔授業などへの利用も普及しつつあり、時と場所の制約を受けることなく教育を受けることができる等、情報社会にあってネットワーク技術が教育の機会の拡大や教育効果の改善等、広範囲にわたって教育支援に利用される時代になった。また、技術系教育機関の課題として、基礎教育分野において学際的多様化が求められ、技術教育分野においては実践能力の育成の充実が望まれている。こうした基礎教育の多様化や実践能力の育成は学内の教育だけで行うことには限界があり、他教育機関はもとより臨床、製造現場等と連携・協力していくことが重要となる。このような背景のもと、現在、技術教育分野における実践能力の育成の充実を目的として、神戸市看護大学と神戸市立中央市民病院の間でネットワーク技術を応用して臨床の専門家のアドバイスをリアルタイムで受けることにより看護実践能力の育成を促進する効果的な授業方略について評価する研究を進めている。そこで本研究では、基礎教育分野における学習の多様化に資する効果的な授業方略について検討するとともに、神戸市看護大学と神戸市立工業高等専門学校との間でネットワーク技術を応用した学習支援システムについての実証実験研究を行ったので報告する。
ネットワーク技術を応用した学習教材の開発や遠隔授業などは様々な方面、領域でその利用が拡がっており、教育効果の改善や教育の機会の拡大に寄与している。特に近年、教育の質を見直し、よりインタラクティブな学習環境を実現する努力が多くの大学で試みられており、ここでもネットワーク技術やeラーニング技術が注目されている。そこで、神戸市看護大学と神戸市立工業高等専門学校における教育効果の改善、学習支援等のシステムとしてeラーニング技術を取り入れるための実証実験を行った。具体的には、Webサイト上で、講義映像をオンデマンド・ストリーミング配信し、授業や講義資料を配布するネットワークシステムを学内に構築し、それを用いて配信コンテンツの作成技術、配信及びコンテンツ化の問題点、これらに必要な機能等について検討した。
神戸市看護大学では、現在稼働中の情報処理室のイントラネットを利用して、実際の講義映像をオンデマンド・ストリーミング配信できるシステムを構築した。配信サーバーとして、情報処理室のサーバー1台をwindows server 2003に変更し、windows media service 9 をインストールした。端末側はwindows media player 10を用いた。次に、このネットワークシステムを使用して今回作成・配信する教科、講義内容等について検討し、実際に講義をビデオに収録した。今回収録した講義は「動物行動学(育児戦略)」「保健行動論(癒しの芸術:フィーリングアーツ)」の2講義と神戸市立工業高等専門学校専攻科の「実用英語(プレゼンテーションコンテスト)」の合計3講義である。ビデオの収録は2台のビデオカメラで行い、1台は授業の全景を収録し、もう1台は教材資料提示部分(MS Power Pointによる提示、オーバーヘッドカメラによる提示、ビデオ映像による提示、板書など)の収録を行った。講義終了後、2種類のビデオ映像、Power Point資料をもとに、MS Producer for Power Point 2003などを用いて配信用コンテンツ(3講義)を作成した。作成したコンテンツを上述のネットワークシステムを用いて配信し、共同研究者が実際に利用し、授業への導入(授業の実施、コンテンツの作成・配信・利用)について検討した。なお、神戸市立工業高等専門学校での実証実験用として同様のシステムがインストールされた配信サーバーを別途準備した。
今回構築した授業配信システムは、講義映像・教材資料をオンデマンド・ストリーミング配信することで、講義内容を学生がいつでも自由に、しかも必要な部分だけを再度学習することができる。教員からの追加資料や次回講義の資料の提示、学生からの質問による教員の回答の提示などのコミュニケーションも可能である。このように講義の再聴、講義内容の復習などの学習支援効果が、また、教員は自己の講義映像やWebのアクセス状況等を確認できる事により講義の質の改善、向上等の効果が期待できる。配信コンテンツの作成手順からは、当該講義のPower Pointを作成してそれに沿って講義を進めることを前提にしているが、今回2種類のビデオ映像(授業の全景と教材資料提示部分)を収録したことにより、授業実施後にこのビデオ映像からPower Pointを製作する事ができた。この場合、コンテンツ作成手順は面倒になるが各教員が通常行っている講義スタイルを特別変更する必要がなく、さらにコンテンツの作成が外注できると教員の負担を殆ど無くすることも可能であるが、コンテンツの作成コストが問題になってくる。コンテンツの作成については、今回作成したコンテンツと同様のものを容易に安価に作成するためのシステムや支援ソフトの検討を続けたい。また、今回構築されたシステムに加えて、学生からのレポート提出、掲示板機能やチャット機能によるコミュニケーション機能、教員への各種集計情報提示機能等についても検討していきたい。なお、将来的には社会人学生への講義の補完、他大学との単位互換、社会人教育、社会への知の公開等への利用が期待できる。
学習支援システムの実証実験を含めた本共同研究の報告会を平成17年10月1日に神戸研究学園都市共同利用施設UNITYで行う。また、教育システム情報学会の研究会等での発表を計画している。
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