研究者 | 所属大学 | |
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代表者 | 大海 一雄 教授 | 流通科学大学 |
長山 雅一 教授 | 流通科学大学 | |
太田 修治 教授 | 神戸国際大学 | |
三次 和代 教授 | 神戸国際大学 |
西神ニュータウンの研究
西神ニュータウンは、人口定着以来すでに20年を経過し、西区の人口の22%を占めるまでに発展してきた。その間に、このニュータウンを"ふるさと"とする子供達も育ってきたが、西神ニュータウンの歴史にはまだ誰も手をつけていない。しかし、西神ニュータウンには、他のニュータウンと異なって戦前からの長い歴史がある。
また、千里から始まったわが国のニュータウンは、いま少子高齢化時代を迎え、人口減少などの大きな問題を抱えている。西神ニュータウンは、人口定着はまだ完成していないが、すでに宅地や分譲住宅の過剰や、少子高齢化の促進などの多くの問題が起こりつつある。
そこで、ニュータウン周辺の歴史や自然はもとより、ニュータウンの企画や建設の段階から、現在のニュータウンの問題など、あらゆることを研究対象とする「神戸都市学」の一環として「西神ニュータウン学」開設への基礎的な研究を行った。
このテーマは、西神ニュータウンに位置し、地域との密着をめざす研究学園都市大学交流センター(UNITY)の共同研究としてふさわしいテーマであると考えた。
研究当初はUNITYの共同研究室において、自由に討議し相互の問題意識の確認を行った。その後、現地に赴き、埋蔵文化センターや周辺文化財の視察、ニュータウンの現状を調査した。
一方、国勢調査結果に基づき、西神ニュータウンの人口の推移と高齢化の状況を分析すると、町丁ごとにかなり異なった動きを示していることがわかった。ことに、駅前のマンション住区で、高齢者の社会増があることが確認された。
そこで、主として高齢者の住まい方や、これからのニュータウンのあり方を知るために、駅前のマンションの居住者に、アンケート調査と面接調査を行った。
いま、高齢者の都心回帰が言われているが、一方利便性の高いニュータウンの駅前マンションへ、高齢者の移住が始まっている。この人達は、予想したとおり、庭の手入れや2階が煩わしくなり、1戸建てから利便性の高い駅前マンションへ転居してきている。また高齢者は現在のマンションへの満足度が高く、定住志向も高いことがわかった。
しかし、ニュータウンについては、いっそうの利便性や選択性を希望し、地下鉄や商業施設への要望が高いことが分かった。
そこで、共同研究の結果、これからの西神ニュータウンのあり方や高齢者の住まい方についていくつかの提案を行った。
団塊の世代の住宅供給を担ってきた西神ニュータウンは、今一斉に高齢化を迎えている。そこで、住区毎の高齢化を平準化するために、高齢者の住み替えの促進と若年階層の転入を図り、ニュータウンを活性化させる。
1戸建て住宅は、高齢化に伴って不自由となるにもかかわらず転居率が低いので、近隣の余剰地に建設した高齢者用賃貸住宅への転居を勧め、余剰の資金で余生を楽しみ、併せて経済の活性化にも寄与する。
京阪神三都市のうち、神戸の住宅地としての役割をアッピールするため、地下鉄の快速を復活し、更に神戸高速鉄道を通じて阪急・阪神への相互乗り入れをして、大阪への利便性を高める。
アンケート調査によると、西神中央には商業施設は一応完備しているが、いっそうの競争性・選択性を要求しているので、商業は現状に安住することなく一層の企業努力が必要である。
西神ニュータウンは、行政としては西区役所があるが、ニュータウン開発事業団や(株)神戸ニュータウン開発センターなどのほか、地下鉄や宅地・住宅供給などの関連組織があり、一層の連携が必要である。
これからも続くニュータウンの生きた問題を検討するため、西神ニュータウン学会の創設が望まれる。幸い西神ニュータウンには、地域に密着する大学群と大学連携(UNITY)があり、研究の継続にふさわしいと思われる。
UNITY(Academic Community Hall)
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